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風は影響を受けた物の動きと、肌で感じる事そして音でしか解らない。六十歳からの人生、風がすべてだ。木の枝や洗濯物の揺れ具合で風向、強弱を見極め感じ取る。ウインドサーフィンに挑戦してから十八年になる。セールに溢れんばかりの風を詰め込んで波を蹴って疾走するあの快感には言葉も無い。ピーンと張りつめた緊張感。時には冬の季節風の荒れ狂う白波に向かって、出挺して行く時の恐怖と孤独感。仲間の視線を意識しながらの存在感のある喜び。私の人生でこれほど充実した日々が残っていたなんて。挑戦してみようと思った小さな勇気が、こんな幸せな時間で包んでくれる。昭和一桁生まれの暗い思い出だけしか残っていない青春の残り火を、いま心行くまで楽しく燃焼している。こんな楽しいスポーツを若者達に独り占めにさせておく手はないと思う。仲間になると今の時代が情報だけではなく、肌で感じ取れるのも心の栄養だ。先ずどんな事でも挑戦してみようという勇気が必要だ。 今日はどうかな、庭の柿の木の葉が西風のサインを出し始めた。「よしッ、浜名湖だ」皺の多くなった
体に、新たな感動と巡り会える風を期待して。