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「今年中に手術をした方がいいでしょう。腫瘍が大きくなっています。」
私の脳には腫瘍があり、毎年東京の病院を受診していたが、医師に手術をすすめられたのだ。
偶然、病気をみつけて以来、毎年、受診する時、せっかくだからと東京見物をしていた。楽しい思い出を残してやりたいと、息子の手をひいて。
時代小説の好きな私が気に入ったのは浅草だった。「手術したって、必ずまた息子と浅草に行くんだ、雷門の前で写真撮るぞ、もんじゃ焼食べるぞ。」あまりにもありふれているかもしれないが、小さな望みと共に手術した。
そしてまた、雷門の前に立つことができた。
手術から三年。
また今年も脳外科受診後、浅草へ行った。
「再発なしです。」
八月二十三日、息子の誕生日。