ホーム > 2008年度銀賞受賞作品一覧 > 2008年度銀賞

一年ほど前から「悩みの電話相談」のボランティアをしている。月二回、夜間に電話室で受話器をとる。多くの相談者から孤独感、家族問題、いじめなど様々な相談が寄せられる。二時間以上にもなる電話があるかと思えば、途中で一方的に切られることもある。自殺をほのめかされ、頭の中が真っ白になったことも。
この電話相談はその場限りで、私は「一期一話」と名づけている。悩みを聞いているうちに、会ったことも会うこともない人と一本の電話線で気持ちがつながっているように感じる時がある。初めは暗かった相談者の声が次第に明るくなり、最後は吹っ切れたように「ありがとうございました」と言ってもらえる-そんな時はボランティア冥利につきる思いがする。微力な私でも人様のお役に立てたという充足感で自分自身が満たされたような気分になるから不思議だ。
この一瞬の喜びがあるからこそ、当番の日はいそいそと出かけるのである。