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血液のがん「多発性骨髄腫」でそれも末期、余命幾ばくもないと告げられて、車いすでの生活が余儀ない。が、入退院を繰り返しながらも九年を生かさせてもらっている。
亡父に手ほどきを受けて以来囲碁が唯一の趣味で、退職後は弁当持参で碁会所通いの日が多く、かなりのめり込んでいたが、病魔と闘うようになって、囲碁のことなどはいつしか心頭から離れていた。
二年ほど前からデイサービスに通所しているが、ボランティア奉仕の人に囲碁五段の猛者がいるのを知り、早速に教授を願い出る。
二〇〇九年六月二十二日の月曜日、偶さかに相手が投了の場面を、八十歳の誕生日祝いにとポラロイドで写された。
囲碁を教わる時が現在の私には至福のひとときで、相手が投了した瞬間が何よりも嬉しく、生きていることの楽しさ、ありがたさを実感できる。よし、明日もまた、のささやかな希望もわいて出る。